2013年5月アーカイブ

●社会保険の現物給与の価額の一部改正

 社会保険の保険料は、被保険者の報酬月額および賞与額に基づいて、労働保険の保険料は、労働者の賃金総額に基づいて決定されますが、報酬、賞与または賃金(以下、「報酬等」という)の全部または一部が通貨以外のもので支払われる場合には、その現物給与の価額について、厚生労働大臣がその地方の時価によって定めることとされています。

従来、支店等に勤務する被保険者の現物給付について、本社所在地の価額が適用されていましたが、生活実態に即した価額が望ましいことから、2013年2月4日に平成25年厚生労働省告示第17号が発出され、4月1日以降、実際の勤務地の都道府県価額が適用されています(関連通達として同日発基労徴発0204第2号、保保発0204第1号、年管管発0204第1号「厚生労働大臣が定める現物給与の価額の取扱いについて」参照)。

この改正による現物給与額の変更は、固定的賃金の変更があったものとみなされますので、「月額変更届」の提出が必要となる場合があり、自社の算定・月変の手続きを行うにあたり注意を要します。

具体的な現物給与の額は、日本年金機構のリーフレットで「厚生労働大臣が定める現物給与の額」として、2013年4月1日現在のものが掲載されています。

【日本年金機構 リーフレット】
 http://www.lcgjapan.com/pdf/lb08182.pdf

●年度更新に係る改正点(その1)一般拠出金への充当手続の簡素化

 労働保険料の額が申告済概算保険料額を下回る場合に、次年度の概算保険料や一般拠出金の納付分に保険料を回すことができ、これを「充当」といいます。

充当には(1)労働保険料のみの充当、(2)一般拠出金のみの充当、(3)労働保険料及び一般拠出金への充当の3パターンがあり、昨年度までは、一般拠出金に充当する場合には、別途還付請求書を管轄の労働局・労基署へ提出しなければなりませんでした。

この点につき、改正により、「労働保険 概算・増加概算・確定保険料 石綿健康被害救済法一般拠出金申告書」に充当意思欄が設けられ、当該欄に番号を記載することで還付が受けられるようになり、実務が簡素化されています。

●年度更新に係る改正点(その2)還付請求書様式のOCR化

 労働保険の確定保険料の額が申告済概算保険料の額を下回る場合、労働保険料の還付請求を行うことができますが、請求を受けるには、労働局や労基署に「労働保険 労働保険料 石綿健康被害救済法 一般拠出金還付請求書」を提出する必要があります。

この還付請求書の様式がOCR化され、従来の様式は使うことができなくなっていますので、還付請求を行う際は注意が必要です。

平成25年度の予算成立を受けて新しい助成金がスタートしておりますが、平成25年度の助成金一覧が厚生労働省より発表されましたので、この機会に受給の可能性のありそうな助成金をチェックしてみてはいかがでしょうか。

【厚生労働省:平成25年雇用関係助成金のご案内】
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/dl/minaosi_rifu.pdf
今年度は、政権交代を受け助成金も大幅に変わっています。
注目のキャリアアップ助成金も正式にスタートします。

キャリアアップ助成金は、非正規雇用問題に対する取り組みの一環として、有期契約労働者等の企業内でのキャリアアップ等を支援する事業主に対する包括的な助成制度(有期契約労働者等の正規雇用への転換、人材育成、処遇改善など)が、平成25年度から創設されました。

詳しくはこちら↓
【厚生労働省のHP】http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/index.html#section0101

「キャリアアップ助成金」リーフレット
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/dl/careerup_leaflet.pdf

「キャリアアップ助成金」 パンフレット
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/dl/careerup_pamphlet.pdf

●厚労省が始めた3つの事業

厚生労働省は、今年度から、若年者・非正規雇用労働者の雇用支援策として、次の3つの事業を新たにスタートさせました。

(1)「若者チャレンジ奨励金」

(2)「若者応援企業宣言事業」

(3)「キャリアアップ助成金」

ここでは、多くの企業が活用できる可能性のある「若者チャレンジ奨励金」についてご紹介します。

●奨励金の概要

この「若者チャレンジ奨励金」は、事業主が、35歳未満の非正規雇用の若者を、自社の正社員として雇用することを前提に、自社内での実習(OJT)と座学(OFF-JT)を組み合わせた訓練(若者チャレンジ訓練)を実施した場合に、「訓練奨励金」として受講者1人1月当たり15万円〔最大2年間〕が支給されます。

さらに、上記の訓練終了後に、訓練受講者を正社員として雇用した場合には、「正社員雇用奨励金」として1年経過時に1人当たり50万円、2年経過時に1人当たり50万円〔合計100万円〕が支給されます。

●要件の確認が必要

この奨励金の要件である「35歳未満の若者」「若者チャレンジ訓練」の詳細については、厚生労働省のホームページでご確認ください、

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/shokugyounouryoku/career_formation/challenge/

なお、ここでいう「座学(OFF-JT)」については、自社の従業員が講師を務めても良いこととされている点は、費用の面から見ても大きなメリットと言えます。

●早めに手続きを行うことが重要

この奨励金は「平成25年度末(平成26年3月末)」までの時限措置となっています。また、政府の予算の範囲内で支給されるものですので、予算額に達した場合には申請の受付が終了してしまいます。

申請を検討されている場合は、早めに手続きを行うことが重要です。

●神奈川県がマニュアルを作成

職場のパワーハラスメント(パワハラ)問題への関心が高まる中、神奈川県では、昨年11月に知事メッセージ「ハラスメントのない職場づくりを神奈川から」を発信するなど、取組みを強化しています。

その一環として、県内の事業所におけるパワハラ対策の取組み状況等に関する実態調査を行い、その結果を踏まえた「中小企業向けパワハラ対策マニュアル」を全国で初めて作成しました。また、労働者のための啓発リーフレットも併せて作成しています。

このマニュアルを企業に提供するなど、パワハラ撲滅に向けた取組みの一層の強化を図っていくとのことです。

●パワハラの実態調査の概要

同県では、平成24年7月から9月にかけて県内1,500事業所を対象にアンケート調査を行い、県内事業所の実態を明らかにしました。以下が主な調査結果です。

・過去1年以内にパワハラの相談・苦情があった中小企業事業所は約3割(28.6%)。

・中小企業事業所の8割以上(84.5%)がパワハラ対策を経営上重要と認識しているが、3割以上(35.7%)が何も取り組んでいない。

・取組内容は、「会議や朝礼での注意喚起」がトップ(28.2%)で、「相談窓口の設置」は約2割(21.0%)、「研修・講習会の実施」は1割台(13.9%)。

●マニュアルの概要

マニュアルには、パワハラの定義、企業の責任、取組実態、予防策などについて書かれており、次のような特徴があります

・厚生労働省、神奈川県経営者協会、連合神奈川などからのメッセージを紹介し、パワハラは労使を挙げて取り組むべき問題であるという姿勢を示す。

・中小企業で活用できるよう、企業に求められる取組みをわかりやすく具体的に解説するとともに、企業や事業所の実情に応じたステップバイステップの取組方法を解説。

・実態調査を踏まえ、社員研修の実施方法や相談窓口の開設、運営について丁寧に解説。

・パワハラ対策の趣旨やポイントをまとめた小冊子「ダイジェスト版」の作成。

●その他の対応

かながわ労働センターでは、パワハラを含めた職場のトラブルについて直通電話で相談できる「労働相談110番」を開設するなどして、適切に対応できる体制の整備をしているとのことです。

 

~神奈川県のHPはこちら~

http://www.pref.kanagawa.jp/prs/p631197.html

 

 

●有識者会議による報告書

先日、内閣府の「経済社会構造に関する有識者会議」から、「人材の育成・活用」や「働き方の見直し」に関する提言(報告書)が発表されました。
 この会議のメンバーは大学教授を中心に構成されており、「経済社会に関する基本認識、政策、制度、規範等の在り方について、有識者の意見を聴取し、経済財政政策の企画及び立案並びに総合調整に資すること」を目的として、平成23年8月に設置されています。

●「正規」「非正規」二元的な雇用の打破

今回の報告書では、「経済社会の成長の最大の源泉は、人的資源である」と位置づけ、様々な提言がなされました。
 この報告書の中で注目すべきは、「職務内容、労働時間、勤務場所などを限定した正社員」を認めていこうではないか、と提言している点です。

近年は非正規雇用社員の比率が増大し、人的資源の形成・活用に問題が生じてきている状況の中、今後は「雇用の安定化」の仕組みを整備していく必要があるとし、「正規雇用」「非正規雇用」といった二元的な雇用機会だけではなく、より多元的な働き方も提供していくことが望ましいとしています。

そして、「正社員としての雇用の安定性を一定程度確保しつつワークライフバランスが確保できるような、残業なしの働き方や短時間正社員、職種限定正社員など、多元的な無期雇用形態を個人の選択により可能にすること」などが必要だと結論づけています。

 ●「職務」「時間」「場所」を限定した働き方

現行では、何らかの理由で「職務内容」、「労働時間」、「勤務場所」を限定して働きたい社員の多くは非正規社員となっているケースが多く、「限定的に働きたい」という人が正社員として働くことは難しくなっています。
 しかし、これらのニーズに社会全体で応えていくことにより、多様な人材が安定的に働くことができるようになり、結果として企業に利益をもたらすことが、理想的な雇用のあり方と言えるのではないでしょうか。

●平成25年度から新体系に

厚生労働省は、4月から雇用関係助成金制度の一部について、既存の助成金で類似するものを統廃合するなどして、わかりやすく、活用しやすい制度体系に変更することを発表しました。

具体的には、雇用調整助成金と中小企業緊急雇用安定助成金のように類似する制度を統合して新設するもの(「雇用調整助成金」に一本化)、中小企業定年引上げ等奨励金など、平成24年度末で廃止となるものなどがあります。

 ●雇用調整助成金の改正点

雇用調整助成金と中小企業緊急雇用安定助成金が統合されて雇用調整助成金に一本化されますが、4月1日以降、以下のように一部内容を変更することが発表されています。

(1)助成率の変更

・大企業:3分の2(4分の3)→2分の1
・中小企業:5分の4(10分の9)→3分の2

※( )内の「労働者の解雇等を行わない場合、障害者の場合」も同様の助成率となる。

(2)教育訓練(事業所外訓練)の助成額の変更

・大企業:4,000円→2,000円
・中小企業:6,000円→3,000円

(3)円高の影響を受けた事業主に対する生産量要件緩和特例の廃止

 ●日本再生人材育成支援事業奨励金の新設

また、4月以降も継続されるものとして、すでに1月より、重点分野(健康・環境・農林漁業分野等)において、有期契約労働者等も含めた労働者に対して、一定の職業訓練を実施した事業主や、被災地復興のために必要な建設関係の人材育成を行った事業主に向けて、以下のような助成金が実施されています。

・正規雇用労働者育成支援奨励金

・非正規雇用労働者育成支援奨励金

・海外進出支援奨励金(留学)

・海外進出支援奨励金(送り出し)

・被災地復興建設労働者育成支援奨励金

今後、非正規労働者のキャリアアップ支援、若年層の安定雇用の確保、高齢者の就労促進などを目的とする新しい助成金も設けられる予定ですので、動向を注視したいところです。

↓詳しくはこちら個をご覧ください。【厚生労働省HP】
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/